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Management Column2026年秋から段階スタート!インボイス経過措置の見直しと企業対応

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市場の混乱を避けるために用意されていたインボイス制度の経過措置ですが、2026年度の税制改正によって大きく変わります。今回の見直しは、事業者間の負担増を抑えるためと同時に、新たなルールの追加も含まれています。
本コラムでは、インボイス制度を機に課税事業者となった個人事業者や、免税事業者との取引がある企業、そして古物やリサイクル資源を扱う事業者が押さえておくべきポイントを解説します。

1.インボイス制度とは?

2023年10月1日からスタートしたインボイス制度は、売り手が買い手に対して正確な適用税率や消費税額を伝えるための制度です。
企業や個人事業主の買い手が納める消費税を計算する際、仕入れにかかった消費税を差し引く仕入税額控除ができます。 この控除を受けるためには原則として国に登録された適格請求書発行事業者から発行されたインボイス(適格請求書)の保存が必要になります。
この制度の導入により、インボイスを発行できない売上1,000万円以下の事業者「免税事業者」からの仕入れについては、原則、仕入税額控除が使えなくなりました。ただし、負担緩和のための経過措置があり、今回の改正で見直しがされました。

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2.令和8年度税制改正による「経過措置」の見直し

この見直しは、主に「免税事業者から課税事業者になった事業者への負担軽減」と、「免税事業者からの仕入れに係る税額控除の見直し」、「手続きの円滑化」を中心に構成されています。

■1.「2割特例」から「3割特例」への移行
インボイス発行事業者の登録に伴い、免税事業者から課税事業者となった個人事業者に対して、納税額を売上税額の一定割合に抑える緩和措置が見直されました。

[改正内容]
個人事業者は従来の「2割特例」に代わり、納付税額を売上税額の3割とする特例「3割特例」が創設されました。法人については2割特例が適用対象期間の満了(2025年9月30日)をもって終了し、この3割特例は対象外となります。

対象者 ・インボイス発行事業者の登録を受けたことで、免税事業者から課税事業者となった個人事業者
・適用を受ける年の2年前の課税売上高が1,000万円以下であること
適用期間 2027年分および2028年分の消費税確定申告。

■2.簡易課税制度への円滑な移行措置
2割特例や3割特例の適用が終わった後、通常の一般課税ではなく「簡易課税制度」へとスムーズに移行できるようにする手続きの特例が設けられました。

[改正内容]
原則として簡易課税を選ぶには「課税期間の初日の前日まで」に届出書を提出する必要がありますが、2割特例・3割特例の適用を受けた翌課税期間に簡易課税を適用したい場合は、その課税期間の「申告期限まで」に届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税を適用できるようになります。

簡易課税制度とは
簡易課税制度とは、中小事業者の消費税の申告事務負担を軽減するために設けられた制度です。通常、一般課税は「売上に係る消費税」から「実際に仕入や経費で支払った消費税」を実額で計算して差し引きますが、簡易課税制度では、「売上に係る消費税額」に事業区分ごとに定められた「みなし仕入率」を掛け合わせて、売上高のみから簡易的に納付税額を計算します。

■3.免税事業者からの仕入れに係る控除の見直し「7・5・3割控除」
インボイス制度の開始に伴い、インボイスを発行できない免税事業者や消費者など適格請求書発行事業者以外の者からの仕入れでも、一定期間は仕入税額相当額を控除できる経過措置が設けられています。 今回の改正で、この経過措置の適用期限が2年間延長された上で、控除できる割合が段階的に縮小される「7・5・3割控除」へと見直されました。

[改正内容]
従来の制度設計では8割控除の後は5割控除へと減少する予定でしたが、激変緩和のため「7割控除」の段階が新たに新設され、以下のようなスケジュールに改められました。

期間 控除率
~2026年9月30日まで 8割控除
2026年10月1日 〜 2028年9月30日 7割控除
※当初予定の5割から引き上げ、期間延長
2028年10月1日 〜 2030年9月30日 5割控除
2030年10月1日 〜 2032年9月30日 3割控除

※2032年10月1日以降は控除廃止となります。

改正前は「10億円」とされていた上限額が、「1億円」へと大幅に引き下げられました。 2026年10月1日以後に開始する課税期間から特定の免税事業者など1社の課税仕入れの合計額が、その年または事業年度で1億円を超える場合は、その超えた部分については「7・5・3割控除」を適用できません。そのため、10月以降の仕入税額控除の計算や、会計ソフト、税務申告の区分変更への対応、さらには取引先のインボイス登録の有無の確認など計画的に見直す必要があります。

■4.特定金属くず特例の創設
新たに「特定金属くず特例」が創設されました。これまで、インボイス発行事業者以外の個人や小規模事業者から金属くず等を買い取る場合、一定の要件を満たせば古物商特例や再生資源等特例を適用することで、インボイスの保存がなくても、帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められていました。 しかし、近年社会問題化している金属盗難への対策として、盗難特定金属製物品の処分の防止等に関する法律(金属盗対策法)が制定されたことに伴い、税制面でもこれと連携した適正化が図られることになりました。その結果、従来の特例から特定金属くずが除外され、独立した新たな特例として整備されました。

[改正内容]
特定金属くず特例は、特定金属くず買受業の届出を行っている事業者が、インボイス発行事業者以外の者から棚卸資産として「特定金属くず」を買い受ける場合、一定の事項を記載した帳簿のみの保存により仕入税額控除を受けることができる制度です。 そのため、金属盗対策法上の届出を行っていない事業者や、要件を満たさない取引については、インボイスがない限り仕入税額控除が認められなくなります。

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3.変化に振り回されないための計画的なスケジュール確認

段階的に縮小していくインボイスの経過措置を乗り切るための鍵は、「スケジュールからの逆算」にあります。
免税事業者からの仕入れに係る控除割合の縮小や、2割・3割特例の終了後に訪れる簡易課税への移行など、今回の見直しには事業者の事業計画や資金繰り、さらには取引先との関係性そのものに直結する変更が数多く含まれています。これらは直前になって慌てて対応できるものではなく、中長期的な視点を持った計画的なシステム改修や、社内フローの見直しが必要です。
制度の移行期間である今こそ、今後の税務負担や事務負担のタイムラインを社内で共有し、計画的なロードマップを策定するタイミングです。変化の波に飲まれることなく、一歩先を見据えた備えを始めてみませんか?

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■参考資料

[国税庁]

「インボイス制度について」
「インボイス経過措置の見直し等」
「インボイス制度に関する令和8年度税制改正について」
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