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Management Column赤字決算でもあきらめない!賃上げ促進税制

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多くの中小企業が直面している「物価高騰」と「人手不足」。これらに対抗するための経営戦略として、「賃上げ」は避けて通れない課題となっています。
こうした企業の決断をバックアップしてきたのが「賃上げ促進税制」です。2024年度の改正では、赤字法人でも将来の黒字と相殺できる「5年間の繰越控除」が新設されるなど、中小企業の実態に即した異例の拡充が行われました。しかし、2026年度の税制改正案においては、一部の上乗せ措置が廃止され、転換期を迎えようとしています。 本コラムでは中小企業が知っておくべき最新の改正ポイントを解説します。

1.中小企業向け賃上げ促進税制とは

従業員の給与を前年度より増やした中小企業や個人事業主に対して、給与増加額の一部を法人税、 個人事業主は所得税を税額控除することができる制度です。
単なる経費計上よりも節税効果が高く、積極的に賃上げを行う企業を支援する内容となっています。

■対象となる事業者
以下のいずれかに該当し、かつ青色申告を行っている事業者が対象です。

[中小企業者等]
資本金1億円以下の法人や農業協同組合。ただし、過去3事業年度の所得金額の平均が15億円を超える法人は、規模に関わらず対象外となります。
[個人事業主]
常時使用する従業員数が1,000人以下であること。

■適用期間
令和6年4月1日から令和9年3月31日までに開始する各事業年度が対象。
個人事業主は、令和7年~令和9年の各年が対象。

■税額控除の基本ルール(必須要件)
給与等の支給額を前年度と比べ、どの程度増加させたかによって、控除率が段階的に設定されています。

1.5%以上の賃上げ 増加額の15%を税額控除
2.5%以上の賃上げ 増加額の30%を税額控除
[税額控除の総額]
税額控除の総額は、その年度の法人税額、または所得税額の20%が上限となります。
2024年度の改正で導入された「繰越控除措置」により、引ききれなかった分を翌年以降に持ち越し、5年間のうちに利益が出たタイミングで使うことができるようになりました。

■控除率の上乗せ
上記の基本控除に加え、以下の要件を満たすことで、控除率を上乗せすることが可能です。

上乗せ要件 上乗せされる税額控除率
[子育て・女性活躍支援]
「くるみん認定(改正後の基準)」や「えるぼし認定(2段階目以上)」を適用年度中に取得、あるいは「プラチナくるみん」「プラチナえるぼし」を期末時点で取得していること。
+5%
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2.2024年度の新制度「繰越控除」

中小企業向け賃上げ促進税制において、賃上げを実施した年度が赤字や欠損であったり、算出された法人税額が少なかったりして、本来受けられるはずの税額控除を使い切れなかった場合、その未控除額を翌年度以降に繰り越して控除できる制度です。これまで中小企業にとって課題だった「利益が出ていないと減税の恩恵を受けられない」という点が改善され、先行して賃上げを行う企業を支援する仕組みとなっています。

■繰越期間
控除しきれなかった金額を5年間繰り越すことができます 。

■繰越時の適用要件
繰越控除を受けようとする年度において、雇用者給与等支給額が前年度(比較雇用者給与等支給額)より増加していることが条件となります。

■事務手続き上の注意点
繰越控除を適用するためには、以下の手続きを継続して行う必要があります。

[未控除額が発生した年度およびその後の各年度]
確定申告書に「繰越税額控除限度超過額」の明細書を必ず添付して提出する必要があります。 この明細書の添付がない場合、未控除額を翌年以降に繰り越すことができなくなります。
[実際に繰越控除を受ける年度]
確定申告書等に繰越控除を受ける金額を記載し、その計算に関する明細書を添付します。

3.2026年度の税制改正による変更点

2025年12月に、「令和8年度税制改正大綱」が公表され、その中で賃上げ促進税制が見直されました。

■大企業向けと中堅企業向け措置の廃止
賃上げ促進税制には大企業向け、中堅企業向け、中小企業向けの3種類がありました。
大企業向け措置は2026年3月31日をもって完全に廃止され、従業員数2,000人以下の規模にあたる中堅企業向けの枠組みも、1年遅れて廃止されます。

■「教育訓練費」上乗せ措置(10%)の廃止
これまでは、給与を上げただけでなく社員の研修や教育にお金を使った場合に、税額控除率をさらに+10%を上乗せするルールがありました。それが廃止され、中小企業の最大控除率は45%から35%へと引き下がりました。

4.賃上げ促進税制の申請・必要書類

本制度には、事前の届出や認定申請は原則不要です。本税制の適用を受けるためには、通常の確定申告の際に、必要な明細書を添付して提出する必要があります。そのため、確定申告の提出期限内で行う必要があります。

■確定申告時の提出書類

確定申告書等に添付するもの
・控除対象雇用者給与等支給増加額
・控除を受ける金額
・税額控除に関する明細書
・適用額明細書(法人のみ)
[上乗せ要件]
くるみん・えるぼし認定等を
適用する場合
適用事業年度中に認定を取得した、あるいは年度終了時にプラチナ認定を保有していることを証明する書類の管理が必要です。

5.制度改正をきっかけに

今回の税制改正の見直しで大企業・中堅企業向けの措置が終了へと向かいました。中小企業にとっては、手厚い上乗せ措置が残されている今こそが、税制メリットを最大限に活用できる貴重な期間といえます。 この制度改正を機に、自社の賃金体系と経営計画を改めて見直し、次なる成長への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。



■参考資料

[中小企業庁]

「中小企業向け「賃上げ促進税制」」

[経済産業省]

「中小企業向け賃上げ促進税制ご利用ガイドブック」
「令和8年度経済産業関係税制改正について」
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