Bizup 日本ビズアップ株式会社

  • 新着情報
  • セミナー情報
  • 製品情報
  • 代表挨拶
  • 会社概要
  • 採用情報
  • お問合せ
  • HOME
  • 発展経営コラム
  • 2026年1月「取適法」施行へ 企業経営に求められる新たな取引のルール

Management Column2026年1月「取適法」施行へ 企業経営に求められる新たな取引のルール

img

2026年1月から中小企業の取引を支えてきた「下請法」が大きく生まれ変わり、「中小受託取引適正化法(取適法)」として施行されます。名称変更だけでなく、適用範囲の拡大や支払期日の明確化、禁止行為の強化など、実務に直結する改正が多数盛り込まれています。企業にとっては、取引慣行の見直しや透明性を高める絶好の機会であり、今まさに準備が求められる重要な制度変更といえるでしょう。

1.改正の背景と社会的意義

従来の下請代金支払遅延等防止法(通称「下請法」)は、発注側(親事業者)と受注側(下請事業者)との取引における支払遅延や一方的な減額などを防止する制度です。
しかし近年は、「原材料価格・人件費・エネルギーコストの急激な上昇」「サプライチェーン構造の変化(特に物流・運送分野の委託構造)」「資本金による適用除外を狙った構造(資本金外し)の懸念」が課題となっています。このような背景のもと、サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させる「構造的な価格転嫁」の実現を目指すため、下請法が全面改正され、名称を新たに「中小受託取引適正化法(取適法)」とし、内容が大きく拡充されます。

2.改正の背景と社会的意義

■キャッシュレス決済の支払方法の仕組み
これまでは独占禁止法の枠組みにより規制されていましたが、無償で荷役や荷待ちをさせられている問題がありました。その対策として、対象取引の類型に「特定運送委託」が新たに加えられます。具体的には、販売する物品、製造を請け負った物品、修理を請け負った物品、作成を請け負った情報成果物(カタログやポスターなど)が記載される等の物品について、その引渡しのために荷主事業者が運送を委託し、さらにその運送を他の事業者へ委託する構造が「特定運送委託」の枠となります。

■キャッシュレス決済の支払方法の仕組み
これまでの資本金基準に加え、委託業者、中小受託事業者適用事業者の範囲に「従業員数基準」が追加されました。

・製造委託、修理委託、特定運送委託、情報成果物作成委託、役務提供委託は「従業員300人以下」
・役務提供委託、情報成果物作成委託は「100人以下」

img

■中小受託事業者がフリーランス
中小受託事業者がフリーランス(特定受託事業者)にも該当する場合、取適法とフリーランス・事業者間取引適正化等法のいずれにも違反する行為が委託事業者から行われた場合は、原則としてフリーランス・事業者間取引適正化等法が優先適用されます。

3.改正の背景と社会的意義

委託事業者には、4つの義務と11の遵守事項が課されています。禁止行為には「協議を拒む一方的な代金決定」「手形払・満額現金化困難な支払手段」「振込手数料の受託者負担」など、取引の“裏の慣習”にも焦点が当たっています。

■4つの義務

義務項目 内容
発注内容等の明示 発注時に、給付内容・代金額・支払期日・支払方法を書面又は電子メールなどの電磁的方法などで明示すること。
書類等作成・保存義務 取引完了後、書面または電磁的記録を作成し、2年間保存。
支払期日を定める義務 受託者が給付を受領した日から起算し、「できる限り短期」かつ「60日以内」に支払期日を定めること。
遅延利息支払義務 支払遅延・減額等の違反があった場合、所定の遅延利息(年率14.6%)を支払う義務。

■11の禁止行為

禁止行為 内容
受領拒否 中小受託事業者に責任がないのに物品等の受領を拒否すること。
支払遅延 支払期日までに代金を支払わないこと
(支払手段として手形払等を用いることも含む)。
減額 中小受託事業者に責任がないのに、発注時に決定した代金を発注後に減額すること。
返品 中小受託事業者に責任がないのに、受領後に返品すること。
買いたたき 物品・役務等に通常支払われる対価と比して著しく低い代金を不当に定めること。
購入・利用強制 正当な理由がないのに、指定する物品や役務を中小受託事業者に強制して購入、利用させること。
報復措置 違反行為を通知した中小受託事業者に対し、取引量削減・取引停止など不利益扱いをすること。
有償支給原材料等の
対価の早期決済
有償で支給する原材料等を用いて中小受託事業者が製造等を行っている場合に、代金の支払日より早く原材料等の対価の支払を強いること。
不当な経済上の
利益の提供要請
自己のために中小受託事業者に金銭や役務等の不当に提供を求めること。
不当な給付内容の
変更・やり直し
中小受託事業者に責任がないのに、発注の取消や内容変更、無償でのやり直し・追加作業を行わせること。
協議に応じない
一方的な代金決定
中小受託事業者から価格協議を求められたにもかかわらず、協議に応じなかったり、必要な説明をせず一方的に代金を決定すること。

4.新たに設けられた禁止行為

取適法の11の禁止行為に新たに設けられた禁止行為が3つあります。
いずれも発注側と受託側の関係を“対等なパートナーシップ”に近づけるための重要な制度設計といえるでしょう。

■協議に応じない一方的な代金決定
受託事業者(特に中小受託事業者)が代金の協議を求めたにもかかわらず、委託事業者が協議に応じず、必要な説明をせずに一方的に代金を決定する行為は、取適法上明確に禁止されています。
この禁止は、単に受託者と価格交渉する機会を与えない構造を封じることを目的としており、発注側が「協議には応じない」と事前に宣言すること、あるいは協議を引き延ばして実質的に拒否することも違反となる可能性があります。
このルールによって、受託側は適正な対価を求める交渉の権利を法律上保障される形となります。
■手形払等の禁止
これまでも支払手段や支払期日の適正は下請法での課題でしたが、、委託者が支払手段として手形を用いたり、支払期日に受託者が十分な現金を受け取り得ない構造(例えば電子記録債権・ファクタリング方式)を採用することが「支払遅延」または「不当な支払手段」と見なされ、禁止されます。
この改正により、受託者が実質的に代金を受け取れないまま、支払期日を迎えてしまうような構造を法的に防止することが狙いです。
■振込手数料を負担させることの禁止
取適法では、委託事業者が振込手数料等を中小受託事業者に負担させ、代金から差し引くような取引慣行は、「減額」に該当する禁止行為として定められます。
ただし、振込手数料を受託事業者が一時的に負担していたとしても、委託事業者がその分を契約書や明示書面で合意・補填し、最終的に受託者が満額の現金を受け取る構造を整えていれば、問題とはなりません。

5.「不当な負担」の見直しは施行前に

取適法は、中小受託事業者が不当な負担を強いられない健全な取引環境を整備するとともに、委託事業者にとっても取引の透明性と信頼性を高め、企業価値向上につながる重要な制度です。
2026年1月の施行を機に、双方が法律の趣旨と内容を正しく理解し、適用開始までに、契約書・支払フロー・支払手段を見直しておくことが、会社経営においても鍵となるでしょう。

img

■参考資料

中小受託取引適正化法の概要【公正取引委員会】
取適法ポイントリーフレット(中小受託事業者向け)【公正取引委員会・中小企業庁】
取適法リーフレット【公正取引委員会・中小企業庁】
「2026年1月から下請法が「取適法」に!委託取引のルールが大きく変わります」【政府広報オンライン】
前のページへ戻る
  • 発展ストレージ
  • 発展請求書
  • 無料体験
  • 無料体験
Bizup 日本ビズアップ株式会社

〒105-7110
東京都港区東新橋1-5-2汐留シティセンター10F

お問合せ・資料請求mail formMore
お気軽にお電話でお問合せください 03-6215-9217 営業時間 9:00〜18:00 土・日・祝日休
  • プライバシーポリシー
  • 情報セキュリティ基本方針
  • コラム
  • facebook
  • twitter

Copyright © NihonBizup Co., Ltd. All rights reserved.