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Management Column5棟10室基準と実質基準

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「5棟10室基準」は、不動産所得の確定申告でよく耳にする言葉です。賃貸物件が建物の場合、その不動産事業が「事業的規模であるかどうか」を形式的に判定する基準として使われています。 一戸建てなら5棟、またはアパート・マンションなら10室。この基準以上の貸付であるなら、その不動産賃貸業は「事業的規模」であるというわけです。なお、一戸建てとアパートの両方ある場合、一戸建て1棟をアパート2室として、合計10室あれば事業的規模と考えます。事業に至らない場合は「事業以外の業務」といいます。 事業的規模になると、資産損失、貸倒損失、専従者給与の必要経費算入、青色申告控除などが認められるので、事業的規模か業務的規模かの判定は重要です。

所得税基本通達26-9

さて、この「5棟10室基準」の根拠は、所得税基本通達26-9です。

(建物の貸付けが事業として行われているかどうかの判定)

26-9 建物の貸付けが不動産所得を生ずべき事業として行われているかどうかは、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で建物の貸付けを行っているかどうかにより判定すべきであるが、次に掲げる事実のいずれか一に該当する場合又は賃貸料の収入の状況、貸付資産の管理の状況等からみてこれらの場合に準ずる事情があると認められる場合には、特に反証がない限り、事業として行われているものとする。

  • 1.貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であること。
  • 2.独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること

「原則はその貸付けが社会通念上事業といえる程度の規模かどうか(実質基準)で判定すべきだが、事実として5棟または10室以上(形式基準)の貸付けであれば事業的規模として扱う」という内容であり、形式基準が先ではないことが分かります。 この文章の作りからは、「形式基準を満たしていれば、事業的規模である」といえますが、「形式基準を満たしていないから、事業的規模にはならない」とまではいえません。 実質基準である「社会通念上事業と称するに至る程度の規模」の内容が分かりにくいことに加え、形式基準にも「おおむね」が付いています。納税者と税務当局との見解が違うことになっても、そう不思議ではないように思います。

国税不服審判所の裁決事例

実際、納税者と税務当局との間で事業的規模かどうかの争いになり、国税不服審判所で裁決が出た事例をみてみましょう。実質的にどのように判断されたかを確認することができます。 このケースの賃貸物件は、形式基準未満(3階建て1棟)であり、年間賃貸料収入は約950万円でした。

平19.12.4裁決(裁決事例集No.74 37頁)

  • 事業とは、自己の計算と危険において営利を目的として対価を得て継続的に行う経済活動のことである。

  • 不動産貸付けが不動産所得を生ずべき事業に該当するか否かは、①営利性・有償性の有無、②継続性・反復性の有無、③自己の危険と計算における事業遂行性の有無、④取引に費やした精神的・肉体的労力の程度、⑤人的・物的設備の有無、⑥取引の目的、⑦事業を営む者の職歴・社会的地位・生活状況などの諸点を総合して、社会通念上事業といい得るか否かによって判断するのが相当と解される。

審判所では上記の諸点について検討を行い、①②⑤については事業性を認めたものの、③④については希薄であるとし、
①~⑦を総合的に勘案した結果、「社会通念上事業と称するに至る程度のものとは認められない」と判断しました。下記のリンク先を参照すると詳しくみることができます。

形式基準の今後

裁決文のなかには「事業であるか否かの基準は必ずしも明確ではなく、その事業概念は、最終的には社会通念に従ってこれを判断するほかはないというべきである」と書かれています。納税者が判断するのが難しいのも当然であり、ある程度は形式基準に頼らざるを得ないのが実態でしょう。 なお、税務大学校の研究活動では、所得税基本通達26-9について、昭和45年7月の制定時から見直しが行われていないこと、その基準の根拠も明確ではないこと、現時点においては課税上問題と考えられるケースがあることなどから、この通達を再考する必要性に言及する論考が紹介されています。

国税不服審判所 平19.12.4裁決 裁決事例集No.74 37頁
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