Management Column毎年流行するインフルエンザ、私たちにできる対策

毎年、秋から冬にかけてインフルエンザの流行がみられます。11月の都内の報道発表資料では昨年よりも6週早く警報基準を上回り、インフルエンザの流行が拡大しています。
インフルエンザは高熱や関節痛などの症状を伴い、乳幼児や高齢者、基礎疾患のある方では重症化する恐れもあります。 感染拡大を防ぐためには、ウイルスへの感染を防ぐことに加え、周囲にうつさない行動を心がけることが大切です。本コラムでは、インフルエンザの基礎知識から症状、予防のポイント、かかったときの対応までを、解説します。
1.インフルエンザとは?
インフルエンザはインフルエンザウイルスが原因の急性呼吸器感染症で、一般的な風邪と比べて 全身症状が強く、重症化しやすい感染症です。
インフルエンザウイルスにはA型、B型、C型、D型の4つの型があり、特にA型とB型は感染力が強く、変異を繰り返しながら毎年流行を引き起こします。
また、新型インフルエンザとは、毎年流行する季節性インフルエンザとは異なり、突然変異などによって新たに出現したインフルエンザウイルスによる感染症です。これまで人の間でほとんど流行したことのないウイルスが原因となります。
■典型的な症状
| 症状 |
・38度以上の発熱 ・全身症状:頭痛、関節痛、筋肉痛など ・局所症状:のどの痛み、鼻水、くしゃみ、咳、など) ・急激に発症 |
|---|---|
| 流行の時期 |
12月から3月(1月から2月がピーク) ※4月、5月まで散発的に続くことも |
■重症化リスク
インフルエンザは多くの人は数日から1週間程度で回復します。 しかし小児では稀に急性脳症、高齢者や基礎疾患を持つ方では肺炎を合併することがあるため注意が必要です。 インフルエンザウイルスは、免疫力が弱い人(高齢者、幼児、慢性疾患を持つ人)で重症化しやすい傾向があり、重症化すると肺炎や脳症などの深刻な合併症を引き起こす可能性があります。
2.インフルエンザウイルスの感染経路
インフルエンザは人と人との距離が近い環境や、日常的に多くの人が触れる物を通じて広がります。主な感染経路には、「飛沫感染」と「接触感染」の2つがあります。
- ■1:飛沫感染
- 飛沫感染とは、感染している人のくしゃみや咳、会話の際に飛び散る唾液などの飛沫に含まれるウイルスを、周囲の人が口や鼻から吸い込むことで起こる感染です。学校や職場、商業施設など、人が多く集まる場所で広がりやすく、感染リスクが高まります。
- ■2:接触感染
- 接触感染は、ウイルスが付着した物を介して起こる感染です。 感染者がくしゃみや咳を手で押さえ、その手で触れたドアノブやつり革、スイッチなどにウイルスが付着します。その後、別の人がそれらに触れ、ウイルスが付いた手で口や鼻を触ることで、粘膜から感染が成立します。
3.インフルエンザから身を守るためには?
流行や感染から身を守るには、原因となるインフルエンザウイルスを体内に侵入させないことや周囲にうつさないようにすることが重要です。
- ■正しい手洗いを行う
-
私たちは日常生活の中で、ドアノブやつり革など、さまざまな物に触れています。これらを通じて、知らないうちに手にウイルスが付着している可能性があります。
帰宅時や調理の前後、食事の前などには、石けんを使ってこまめに手を洗うことが大切です。ウイルスは石けんに弱いため、正しい手洗いを行うことで体内への侵入を防ぐことができます。 - ■流行前にワクチン接種を受ける インフルエンザにかかると、多くの場合は1週間程度で回復しますが、肺炎や脳症などの重い合併症を引き起こし、重症化することもあります。 インフルエンザワクチンを接種することで、発病のリスクを下げたり、重症化を防ぐ効果が期待できます。
- ■十分な休養とバランスのとれた食事を心がける
- 体の抵抗力を高めるためには、日頃から十分な睡眠と、栄養バランスのとれた食事を意識することが大切です。疲労や睡眠不足が続くと、抵抗力が低下し感染しやすくなります。
- ■室内の湿度を適切に保つ
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空気が乾燥すると、のどや鼻の粘膜の防御機能が低下し、ウイルスに感染しやすくなります。
乾燥しやすい季節には、加湿器などを利用し、室内の湿度を50〜60%程度に保つことが効果的です。 - ■人混みや繁華街への外出を控える
- インフルエンザが流行している時期には、人が多く集まる場所では感染リスクが高まります。 特に高齢者や持病のある方、妊娠中の方、体調がすぐれない方は、不要不急の外出を控えましょう。 やむを得ず外出する場合には、不織布マスクの着用が飛沫感染を防ぐ一つの対策となります。
- ■室内ではこまめに換気を行う
- 家庭内でも、換気を行うことで空気中に滞留したウイルスを減らすことができます。 常時換気設備や換気扇を活用し、室温を大きく下げることなく、こまめな換気を心がけましょう。
-
※ワクチンを接種していても感染する場合はありますが、症状を軽く抑える点で重要な予防策です。
4.「インフルエンザかな?」と思ったら
発熱や咳、全身のだるさなど、インフルエンザが疑われる症状が出た場合は、無理をせず、早めに適切な対応をとることが大切です。
- ■安静にする
- 症状があるときは、十分な睡眠をとり、無理な外出や活動を控えて安静に過ごしましょう。体を休めることで、回復を助けることにつながります。
- ■こまめに水分を補給する
- 高熱が出ると、発汗によって体内の水分が失われやすくなります。脱水症状を防ぐため、のどが渇いていなくても、こまめに水分を補給することが重要です。
- ■具合が悪いと感じたら早めに医療機関へ
-
高熱が続く、息苦しさがある、意識がもうろうとするなど、症状が強い場合は、早めに内科や小児科などの医療機関を受診しましょう。
なお、発熱してから12時間未満の場合、検査で陽性とならないことがあります。検査を受ける場合は、発熱後12時間以上経過してから受診することが望ましいとされています。 - [次のような症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください]
・けいれんを起こす、呼びかけに反応しない
・顔色が悪く、青白い
・症状が長引き、悪化してきている・呼吸が速い、息切れや呼吸困難がある
・おう吐や下痢が続いている
・胸の痛みが続いている - ■薬は医師の指示に従って正しく服用する
- 医師が必要と判断した場合には、抗インフルエンザウイルス薬が処方されます。 これらの薬は、発症から48時間以内に服用を開始することで、発熱期間を短縮し、ウイルスの排出量を減らす効果が期待できます。 48時間を過ぎてから服用を開始した場合でも、医師の指示に従い、用法・用量・服用期間を守って正しく服用しましょう。
5.正しい知識とふだんの健康管理
インフルエンザは、発生そのものを完全に防ぐことは難く、誰もが感染する可能性がある感染症です。 しかし、私たち一人ひとりが正しい知識と日頃からの感染を「広げない」「うつさない」行動を意識することで、感染の広がりを抑えることは可能です。正しい知識での予防は自分自身の健康を守るためだけでなく、家族や友人、地域社会に暮らす大切な人たちを守ることにも繋がります。
■参考資料
[政府広報オンライン]
「新型インフルエンザの発生に備えて。一人ひとりができる対策を知っておこう」「インフルエンザの感染を防ぐポイント「手洗い」「マスク着用」「咳(せき)エチケット」
[東京都 報道発表]
「都内のインフルエンザ、警報基準を超える」