2-1 仕訳の基礎を理解する
2-2 現金の入出金:具体的な処理事例
2-3 預金の入出金:具体的な処理事例
2-4 保険請求および仕入の処理事例
2-5 給与支給の処理事例
2-6 固定資産購入時の処理事例
2-7 減価償却費の処理事例
2-8 賞与引当金の処理事例
2-9 保険積立金の処理事例
2-10 前払費用の処理事例
2-11 仮払金の処理事例
2-12 医療特有の処理事例
1   預金入金の処理

預金口座では、病医院の入金・出金が行われますので、それぞれを正確に処理していきます。
預金入金とは、預金が増加する取引を指します。
実務上では、「保険請求分の入金」、「市町村からの手数料収入」、「借入金の入金」、「預金の預入」等があります。

具体的には次のような取引となります。

(1)日々発生する取引の処理事例

事例1
自由診療収入
自由診療30万円が普通預金に振り込まれた場合
借   方 貸   方 摘   要
普通預金300,000円 自由診療収入300,000円 自由診療収入 ○○分

事例2
その他収入
市町村等から診療にかかる手数料8千円が普通預金に振り込まれた場合
借   方 貸   方 摘   要
普通預金8,000円 その他収入8,000円 ○○市××手数料

事例3
預金への預入
普通預金に現金100万円を入金した場合
借   方 貸   方 摘   要
普通預金100,000円 現金100,000円 普通預金入金


(2)毎月発生する取引の処理事例

事例1
医業未収金
社会保険支払基金から診療報酬320万円が普通預金に振り込まれた場合
借   方 貸   方 摘   要
普通預金3,200,000円 医業未収金3,200,000円 社会保険支払基金入金


(3)定例ではない取引の処理事例

事例1
借入金
銀行より長期借入金1000万円を借入れ、普通預金に入金となった場合
借   方 貸   方 摘   要
普通預金10,000,000円 長期借入金10,000,000円 ○○銀行長期借入金


2   預金出金の処理

預金出金とは、現金が減少する取引を指します。
実務上では、「経費支払い」、「買掛金支払い」、「預金から現金引出し」等があります。

具体的には次のような取引となります。

(1)毎月発生する取引の処理事例

事例1
薬品仕入または診療材料仕入
診療材料15万円を普通預金から振り込んだ場合
借   方 貸   方 摘   要
診療材料仕入150,000円 普通預金150,000円 ○○製薬

※注意
この診療材料仕入を買掛金として管理している場合
借   方 貸   方 摘   要
買掛金150,000円 普通預金150,000円 ○○製薬

事例2
その他経費の支払
電気料金8万円が普通預金から自動引去りとなった場合
借   方 貸   方 摘   要
水道光熱費80,000円 普通預金80,000円 電気代

事例3
預金引き出し
普通預金から現金50万円を引出した場合
借   方 貸   方 摘   要
現金500,000円 普通預金500,000円 預金引出し


(2)毎月発生する取引の処理事例

事例1
給料手当の支払
看護師給与70万円を普通預金から振り込んだ場合
借   方 貸   方 摘   要
看護師給与700,000円 普通預金700,000円 看護師給与

事例2
その他経費の支払
水道料金3万円が普通預金から自動引去りとなった場合
借   方 貸   方 摘   要
水道光熱費30,000円 普通預金30,000円 水道料金

事例3
買掛金の支払
買掛金13万円を普通預金から振り込んだ場合
借   方 貸   方 摘   要
買掛金130,000円 普通預金130,000円 梶宦宦宦

事例4
未払金の支払
未払金25万円を普通預金から振り込んだ場合
借   方 貸   方 摘   要
未払金250,000円 普通預金250,000円 梶宦宦宦

事例5
預り金の支払
給与から天引きした源泉所得税14万円を普通預金から納付した場合
借   方 貸   方 摘   要
預り金140,000円 普通預金140,000円 源泉所得税

事例6
短期借入金または長期借入金の返済
長期借入金30万円(元金)を普通預金から返済した場合
借   方 貸   方 摘   要
長期借入金300,000円 普通預金300,000円 ○○銀行長期借入金返済

なお、借入金利息25,000円が普通預金から支払われた場合
借   方 貸   方 摘   要
支払利息25,000円 普通預金25,000円 ○○銀行長期借入金利息


3   二重仕訳に注意

二重仕訳とは、ひとつの取引に仕訳が二重に作成される仕訳です。預金入金および預金出金のうち、現金と預金との取引は、二重仕訳となり注意が必要です。
たとえば、預金から現金を引き出した場合、預金取引として以下の仕訳ができます

借   方 貸   方 摘   要
現金100,000円 普通預金10,000円 預金引出し

一方、現金取引として同一の仕訳が作成され、仕訳がダブってしまいます。
このため、帳簿作成時には現金取引または預金取引のどちらかのみを帳簿作成時に反映させる必要があります。


4   個人経営の病医院に関する留意事項

個人経営の病医院は、事業所得を計算するために仕訳を作成します。
従って、事業所得に関係のない預金入金は事業主借勘定を使用して仕訳を作成します。また、事業所得に関係のない預金出金は事業主貸勘定を使用します。

たとえば、仕訳は次の通りとなります。

事業主借
事例1
普通預金に利息が入金となった場合
借   方 貸   方 摘   要
普通預金1,000円 事業主借1,000円 預金利息

事業主貸
事例2
院長自宅の固定資産税が普通預金から引き去りとなった場合
借   方 貸   方 摘   要
事業主貸75,000円 普通預金75,000円 院長自宅 固定資産税
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