3-1 勘定科目決定の拠りどころ 病院会計準則の体系
3-2 資産科目の定義と具体例
3-3 負債科目の定義と具体例
3-4 収益科目の定義と具体例
3-5 費用科目の定義と具体例
3-6 個人事業特有の勘定科目
病院会計準則に基づく損益計書は、医業収益と医業費用、医業外収益と医業外費用、臨時収益と臨時費用に区分されます。

企業会計原則では、損益計算書を経常損益の部と特別損益の部に区分し、通常の経営活動により生じた損益取引を経常損益の部に表示し、それ以外は特別損益の部に表示し、企業の経営状況を判断の資料とします。
病院会計準則に明記はされていませんが、経常利益までの損益取引は、通常の医業活動による取引を表示し、それ以外は臨時収益・臨時費用に表示します。

医業収益及び医業外収益、臨時収益の定義と具体例は次の通りです。

1   医業収益の定義と具体例

勘定科目 内  容
入院診療収益 入院患者の診療及び療養に係る収益患者窓口負担金及び各支払機関請求分を計上する勘定科目 医療保険・公費負担医療・労災保険公害医療・自動車損害賠償責任保険・介護保険等・自費診療など
室料差額収益 特定療養費の対象となる特別の療養環境の提供に対する収益を計上する勘定科目  
外来診療収益 外来患者の診療及び療養に係る収益患者窓口負担金及び各支払機関請求分を計上する勘定科目 医療保険・公費負担医療・労災保険公害医療・自動車損害賠償責任保険・介護保険等・自費診療など
間違いやすい例
窓口での患者負担分を免除、その金額を売上に未計上
取引先や従業員などに対し、窓口負担金を免除した場合、売上を計上するとともに、それぞれ接待交際費、福利厚生費などの適正科目に計上しなければなりません。
クレジットカードでの売上を入金額の分だけ計上
クレジットカードを利用した場合、入金時にクレジットカード手数料を差し引かれた金額が入金となります。売上計上額としては、あくまでも売り上げた金額であり、入金額と手数料を合計した金額を計上します。
保険予防活動収益 保険適用外に係る収入を計上する勘定科目 妊産婦保健指導等保健予防活動・健康診断・人間ドック・予防接種等の収益
受託検査・
施設利用収益
他の医療機関から検査の委託を受けた場合の検査収益及び医療設備機器を貸与した場合の収益を計上する勘定科目  
その他の
医業収益
診断書等の文書料など前述に属さない医業収益を計上する勘定科目 施設介護・短期入所療養介護以外の介護報酬、各市町村の事務手数料・文書料等
保険等査定減 社会保険診療報酬支払基金等の審査機関による審査減額を計上する勘定科目  


2   医業外収益の定義と具体例

勘定科目 内  容
受取利息 預貯金の利子、公社債の利子、公社債投資信託の収益、分配貸付金の利子などを計上する勘定 預貯金の利子、日本国債の利子、貸付金利息など
間違いやすい例
個人事業で、受取利息を計上
個人事業の場合、預金利息などの受取利息は「事業主借」で計上します。
受取配当金 法人からの配当金、投資信託の収益の分配などを計上する勘定 配当金、信用金庫の剰余金の分配
運営費
補助金収益
運営に係る補助金、負担金。  
施設設備
補助金収益
施設設備に係る補助金、負担金のうち、当該会計期間に配分された金額 施設設備補助金収益
患者外
給食収益
患者以外に提供した食事に対する収益  
その他の
医業外収益
本業に関係しない取引から生じる収益で重要性の低いものを計上する科目 代理店手数料の受取、保険料の受取窓口物品販売代金(勘定科目として雑収入の使用あり)


3   臨時収益の定義と具体例

勘定科目 内  容
固定資産
売却益
固定資産の売却価格がその帳簿価格を超える差額を処理する勘定科目  
その他の
臨時収益
固定資産売却益以外の臨時収益をいう 災害保険金収入、償却済債権の回収
医療事故の保険金収入
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