4-1 月次決算処理のポイント
4-2 月次決算処理の確認
4-3 貸借対照表残高の確認
4-4 損益計算書科目チェック
4-5 営業外収益・費用のチェック
1   貸借対照表科目

貸借対照表の資産項目に掲げている金額については、残高の確認、評価の妥当性、資産の実在性、負債の網羅性が重要な検証事項となる。


2   流動資産

@  現金
現金については実際の有り高と帳簿残高が一致しているか確認します。現金を一部小口化している場合は、小口ごとに実際有り高を勘定し、帳簿も小口ごとに管理し残高の確認を行う。
A  普通預金
預金については、預金種類別、取引銀行別、口座別に預金通帳の残高と、帳簿残高が一致しているか確認します。
B  売掛金
売上債権における要点は、真実の債権であるか、回収は可能であり、債権保全手続きがおこなわれているかを確認する。得意先に対する売掛金残高の照合を行うのが基本である。照合が困難な場合は、商品の発送記録、販売契約内容、入金記録等を調査し、得意先元帳と照合するのが基本である。値引、割引または割戻しについては、正当な責任者の承認を経て行われているか確認する。

C  棚卸資産
棚卸を行うことによって金額が確定します。棚卸方法は、継続記録法と棚卸計算法があります。棚卸商品材料等が多い卸売業、小売業などは毎月末において正しくこれらを棚卸して、売上原価を確定し管理する。消耗品を買い入れた時点で費用とする場合には、貯蔵中のものでも棚卸資産に含まれない。ただし、期末に未消費分を貯蔵品勘定などに戻す場合は、未消費分は棚卸資産である。
D  短期貸付金
金銭消費契約等に基づき開設主体の外部に対する貸付取引のうち当初の契約において1年以内に受取期限の到来するものの残高を確認します。
受取期限が1年を超えて到来するものは、固定資産の長期貸付金で処理し、受取期限が1年以内になった場合は短期貸付金に振替処理を行います


3   固定資産

@  有形固定資産
開設主体がその事業活動のように供するために長期に渡って使用する資産を確認します。月次においては、当月取得資産が事業の要に供されたか確認し、取得価格を明確にする必要があります。取得価格には、当該資産の購入代金、引取運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、関税その他当該資産の購入のために要した費用及び当該資産を事業のように供するために直接要した費用の額を求めます。
A  無形固定資産
ソフトウェア、借地権、電話加入権、営業権、その他の無形固定資産に該当するものの残高を確認します。

B  投資有価証券
国際、地方債、株式、社債、証券投資信託の受益証券などのうち満期保有目的の債権、その他有価証券及び市場価格の無い有価証券などの残高を確認します。

C  長期前払費用
時の経過に依存する継続的な役務の享受取引に対する前払分で1年を超えて費用化される未経過分の金額の残高を確認します。


4   流動負債、固定負債

@  買掛金
商品、製品など棚卸資産に対する未払債務の残高を確認します。これらの購入は特定の仕入業者より締め日毎に請求書が送付されるため、請求内容にしたがって残高を確認していきます。実務的には、仕入先別に補助簿を作成し、残高管理することは必要となります。期中の商品は購入に関する仕入送り状、納品書、検収報告書等の証憑書類と買掛金元帳と照合を実施する。

A  未払金
通常の取引において、主に発生原因が医業費用あるいは器械、備品等の購入及び支払であるものの残高を確認します。未払金は、その取引先が買掛金以上に多数となるため、期中においては買掛金と同様に補助簿を作成する必要があります。償却資産でない土地、借地権取得の未払額、税金等の確定額なども管理します。

B  短期借入金
公庫、事業団、金融機関などの外部からの借入金で、借入金とは、外部から金銭を受入、当初約定の期日到来日に返済する契約です。当初の契約において1年以内に返済期限が到来するものの残高を確認します。
C  未払費用
賃金、支払利息、賃借料など時の経過に依存する継続的な役務給付取引において既に役務の給付は受けたが、法的にその対価の支払債務が確定していない分の金額の残高を確認します。

D  預り金
預り金など従業員以外のものからの一時的な預かり金の残高を確認します。一般取引時における申込金、保証金、証拠金等の取引先実在者と帳簿金額及び名簿を定期的にチェックして、その残高を確認していきます。


5   固定負債

@  長期借入金
金融機関などの外部からの借入金で、当初の契約において1年を越えて返済期限が到来するものの残高を確認します。借入先ごとに期首残高、当月増加額、当月減少額を記載して残高管理していきます。

A  その他の固定資産
前掲の科目に属さない債務等であって、期間が1年を超えるもので金額の大きくないものについて残高を確認します。長期預り金、長期支払手形、税効果会計の適用時において発生する繰延税金負債などを管理します。
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